札幌高等裁判所 昭和26年(う)897号 判決
記録を調査すると、原審第一回公判期日と被告人に対する召喚状の送達との間に、刑事訴訟法第二百七十五条刑事訴訟規則第百七十九条第二項の猶予期間を置いてなく、又これについて、原裁判所は右公判期日で、被告人に対し異議の有無を問うた形跡のないことは所論のとおりであるが、刑事訴訟規則第百七十九条第三項の規定は、同条第二項の猶予期間を置かねばならないとの原則に対する例外を規定したのであつて、異議の有無を問うことを命じた規定ではなく、他にこれを命じた規定もないから、かような問を発しなくとも何等違法ではない。又異議のない場合においては、その旨を調書に記載する必要はなく、唯異議の申立があつた場合にだけこれを調書に記載すれば足りるのである(刑事訴訟規則第四十四条第八号)から、その記載のない場合には異議の申立がなかつたものと認むるのが当然である、原審第一回公判調書の記載を閲すると、かような異議申立があつた旨の記載はないから被告人に異議はなかつたものと認めざるを得ない。